The Garden

猫の管理人が主の趣味を徒然なるままに綴りました

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番外編 はむはむヘヴン ホワイト・ディ編(中啓ver.)

  「やった・・・!」
  俺はオーブンから取り出した天パンを見て小さく拳を握り締めた。
  今日はホワイト・ディなので、俺は朝から中嶋さんハムに渡すクッキーを作ってた。手際が悪くて大変だったけど、アーモンド・パウダーの入った香ばしいクッキーを目指した。何度も練習したから焼き色も完璧。作業台に天パンを乗せると、早速、俺は一つ摘んでみた。
  「美味し~い」
  うん、これなら堂々と中嶋さんハムに渡せる、と思った。ただ、問題はどうやってこれを食べさせるか・・・
  「中嶋さんハム、甘いものはあまり好きじゃないし・・・」
  困ったな、と俺は腕を組んで作業台に寄り掛かった。天井を眺めながら、頭の中でクッキーを作る様に考えを色々こね回した。玄関のドアが開く音がしたけど、その意味にも気づかないほど一生懸命に・・・
  「啓太ハム」
  中嶋さんハムが真っ直ぐキッチンへ入って来る。
  「あっ、中嶋さんハム、おかえりなさ――・・・」
  その言葉を遮る様に中嶋さんハムが俺を強く抱き寄せた。いつにない行動に、一瞬、俺は凄く驚いた。でも、温かい腕から気持ちが伝わってくる気がして、俺からも中嶋さんハムにギュッとしがみついた。中嶋さんハム、大好き・・・
  やがて中嶋さんハムが静かに口を開いた。
  「・・・原因はこれか。お前、気づかなかったのか?背中の毛が焦げている」
  「えっ!?」
  俺は両手を後ろにやって、あちこち触って確かめてみた。
  (・・・本当だ。一部分だけ感触が違ってる。ふわふわの中にチリチリになってるとこがある)
  「もしかして、この天パンで・・・」
  「全く・・・だから、火を使うときは注意しろと言っただろう」
  「・・・焦げちゃった・・・」
  茫然と俺は中嶋さんハムを見上げた。前に中嶋さんハムが俺の毛は手触りが良いって褒めてくれたことを思い出し、涙が滲みそうになる。
  「・・・っ・・・」
  俺はクシクシと目を拭った。すると、中嶋さんハムの声が聞こえた。
  「不器用なお前にしては綺麗に焼けたな」
  「・・・中嶋さんハムに・・・渡そっ・・・思っ、て・・・」
  何とか顔を上げると、そうか、と中嶋さんハムは呟いた。そして、クッキーを一つ取ると、おもむろに口に入れた。
  「あっ、食べた」
  ついポロッと呟いた俺を中嶋さんハムが不思議そうに見やった。
  「何だ・・・渡すだけで良かったのか?」
  「そ、そんなことないです。俺、どうやったら中嶋さんハムに食べて貰えるか、ずっと考えてました。だから、まさかこんな直ぐなんて・・・」
  慌てて俺は説明した。すると、中嶋さんハムが軽く俺の頭を撫でた。
  「その程度で悩むな。今日が何の日かは知っている」
  「・・・中嶋さんハム・・・」
  俺は嬉しくて舞い上がりそうになった。それは俺が渡したら甘いものでも食べてくれるという意味に聞こえたから。俺が嬉しそうに中嶋さんハムを見てると、不意に小さな包みをくれた。
  「何ですか、これ?」
  丁寧に包装紙を解くと、中から透明な器に入った白いマシュマロが出て来た。わあ、と喜ぶ俺に中嶋さんハムが言った。
  「啓太ハム、マシュマロの美味しい食べ方を知っているか?」
  「えっと・・・ココアに入れる、ですか?」
  「それでは溶けてしまうだろう。マシュマロは焼いて食べるものだ」
  そうして中嶋さんハムは戸棚からフォンデュ用の長いフォークを取り出した。先端にマシュマロを一つ刺してコンロで炙り始める。焦げない様に、ゆっくりと丁寧に。やがて万遍なく焼き上がると、その熱々のマシュマロを中嶋さんハムはフォークごと俺にくれた。
  「有難うございます、中嶋さんハム」
  俺は火傷しないよう慎重に焼きマシュマロを食べてみた。
  「あっ、美味しい」
  外はカリカリで、中はとろ~り溶けたマシュマロは凄く熱くて甘かった。はふはふと食べてたら、不意に良いことを思いついた。
  「そうだ。このクッキーでマシュマロを挟んだら、もっと美味しいかも」
  「全く・・・お前は花より団子だな」
  中嶋さんハムが呆れた様に呟いた。でも、もう焼きマシュマロの準備をしてる。俺は嬉しくなって、はい、と大きく頷いた。それから後は俺達だけの秘密の時間・・・♪
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