The Garden

猫の管理人が主の趣味を徒然なるままに綴りました

番外編 はむはむヘヴン 月蝕編(和啓ver.)

  「い、急がないと・・・!」
  暗い森の中を俺は必死に和希ハムの元へと走ってた。
  夜は危ないから外に出たら駄目って言われてるけど、そんなこと構ってられない。だって、今夜は月蝕だから!七条さんハムが言ってた。昔のハムは月蝕は良くないことの前触れだと考えてたって。俺、運には自信あるから大丈夫だと思うけど、もし、和希ハムに何かあったら・・・!
  「・・・っ・・・」
  じわっと浮かびそうになった涙を俺は手の甲で拭って足を速めた。
  「テチテチ、テチテチ・・・テチテチ、テチテチ・・・」
  そのとき、どこで変な音が聞こえた。ハッと俺は立ち止まった。もしかして・・・何か、いる?この森にいるのはカラスくらいだけど、鳥って夜は行動しないはずじゃ・・・
  怖くなった俺はキョロキョロと辺りを見回した。
  「・・・」
  昼間は緑溢れる綺麗な森も今は妙に鬱蒼として不気味だった。それに・・・いつも涼しい木陰を作ってくれるあの木が大きく両手を広げた巨大ハムに見える。あの長い指で俺のことをヒョイッと摘んで、パクッと食べる気かもしれない。俺の大好きな野苺のなるあの茂みも怪しい。あれ、あんなにこんもりしてたかな。あれじゃあ、何かが隠れてたとしてもわからない。ど、どうしよう。俺、ネズミと間違われてカラスに襲われるのも嫌だけど、お、お化けはもっとやだ~!
  「わ~ん、和希ハムっ・・・!」
  半泣きで駆け出した俺の腕を誰かが掴んだ。思わず、俺は目を瞑って叫んだ!
  「お、俺を食べても美味しくないです!だから、助けて!」
  「啓太ハム?」
  「・・・!?」
  その声に恐る恐る瞼を開けると、そこには大好きな和希ハムの姿があった。ほっとした俺は和希ハムにギュッと抱きついた。
  「和希ハム、和希ハム・・・良かった、無事で・・・」
  「俺が遅いから心配して迎えに来てくれたんだね。有難う、啓太ハム」
  和希ハムが宥める様に俺の背中をポンポンと叩いた。うん、と頷いて、俺は更に和希ハムにしがみついた。小さく震えながら、そっと心の中で祈る。俺の運を全部あげるから、お月様、どうか和希ハムに手を出さないで・・・!
  そうしたら、急にふわりと俺の身体が浮いた。和希ハムが俺を抱き上げてテチテチと歩き出す。
  「和希ハム・・・どうしたの?」
  「啓太ハムに素敵なものを見せてあげる。丁度良い時間だから」
  少し進むと急に森が開けて、人の造った道路の向こうに広い海が見えた。その上に蜂蜜色の満月が浮かんでる。それが、ゆっくりと静かに欠け始めた。あっ、と俺は息を呑んだ。始まったな、と和希ハムが呟いた。
  「・・・」
  徐々に赤みがかってく月は見慣れないせいか、ちょっと変な感じがした。でも、いつもは見えない周りの星が赤い月を飾ろうとするみたいに瞬いて・・・凄く綺麗だった。
  「あの色彩・・・何か夕焼けみたい」
  「苺の様にも見えるな」
  「あっ、うん」
  そのとき、俺は不意に気がついた。あんなに大きな苺なら星も嬉しくて絶対、キラキラしたくなるってことに。きっと昔のハムは苺を知らなかったんだ。いつもと様子が違うから・・・だから、怖かったんだ!
  理由がわかったら、何だか急に元気が出て来た。和希ハムがクスッと笑った。
  「啓太ハム、空の苺も良いけれど、俺のことも忘れないで欲しいな」
  「別に忘れてなんか・・・」
  言い掛けて、俺の胸がドキッと跳ねた。
  和希ハムが熱い瞳で俺を見上げてた・・・俺にだけ見せる、あの艶っぽい色彩を秘めて。俺は頬や耳が熱くなってくるのを感じて、もじもじと身を捩った。すると、和希ハムが甘い声で囁いた。
  「ねえ、啓太ハム・・・キスして良い?」
  「・・・うん・・・」
  恥ずかしかったけど、俺は小さく頷いた。それから後は俺達だけの秘密の時間・・・♪
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