番外編 はむはむヘヴン 節分編(中啓ver.)

  「あっ、お帰りなさい、中嶋さんハム」
  ドアの処でコートの雪を払う中嶋さんハムに俺はテチテチと駆け寄った。
  今日は王様ハムが溜めに溜めた仕事を三人で片づけてたけど、俺だけ日が暮れる前に先に帰されてしまった。それは、俺では役に立たないと暗に言われた様で少し・・・とっても悲しかった。でも、外に出たら直ぐ理由がわかった。だって、雪が降ってきたから。寒くなると必ず風邪を引く俺のことを中嶋さんハムは心配してくれたんだ・・・!
  そんな密かな優しさに触れる度に、俺は中嶋さんハムを益々好きになってしまう。昨日よりも今日、今日よりも明日、明日よりも・・・そうしていつか俺の心は中嶋さんハムで一杯になる。いや、もう既に一杯かも。今だって中嶋さんハムのことしか見えてないし・・・
  そんなことを考えてた俺の耳に中嶋さんハムの低い声が聞こえた。
  「啓太ハム、あれは何だ?」
  「・・・!?」
  ハッと我に返って、俺は中嶋さんハムの指差す先を見た。テーブルの上に二つの袋に入った小さな豆が置いてある。
  「あっ、それは篠宮さんハムから貰ったんです。これを撒いて邪気を払えって。今日は節分だから」
  「全く・・・面倒な・・・」
  中嶋さんハムが軽く眼鏡を押し上げた。
  「駄目ですよ、中嶋さんハム、篠宮さんハムは親切でくれたんです。だから、食事の前に豆撒きしませんか。遅くなると、もっと寒くなってドアや窓を開けたくなくなりそうですから」
  「なら、しなければ良い」
  「でも、篠宮さんハムが教えてくれたんです。豆撒きして、年の数より一つ多く豆を食べたら風邪を引かないって。まだ寒い日が続くから、俺、中嶋さんハムを心配させたくなくないし・・・」
  その言葉に中嶋さんハムは黙って豆を取った。やっぱり中嶋さんハムは優しい。ふふっ、と微笑を噛み殺しながら、俺はドアと窓を開けた。ぴゅ~と冷たい風が吹き抜ける。これは早く終わらせた方が良いかもしれない。
  「えっと・・・じゃあ、いきます。鬼は外、福は内・・・鬼は外、福は内・・・」
  寒さを吹き飛ばす様に元気な声を出す俺の横で、中嶋さんハムは適当に豆を撒いた。ちゃんと鬼は外、福は内って言わないと駄目ですよって注意しても綺麗に無視されてしまう。
  う~、中嶋さんハムはこういうとこちょっと捻くれてると思う。せめてもう少し素直になってくれたら嬉しいんだけど・・・あっ、そういえば、前に和希ハムが中嶋さんハムは天邪鬼だって言ってた。もしかしたら、ハムの心にも鬼はいるのかもしれない・・・
  俺は、そっと中嶋さんハムを窺った。
  中嶋さんハムはもうドアと窓を閉めようとしてた。その背中が、これで豆撒きは終わりだ、と言ってる。でも、俺の方を向いてない今は丁度良いチャンスだった。
  「・・・」
  俺は右手で静かに豆を掴むと、中嶋さんハムの足元へ軽く撒いた。そして、小さく俯いて出来るだけ声を潜めて呟いた。
  「鬼は外・・・鬼は外・・・」
  「ほう?」
  「・・・!」
  外の風より冷たい声音に慌てて顔を上げると、中嶋さんハムが真っ直ぐ俺を見つめてた。あっ、何か嫌な予感・・・
  「お前は俺を鬼だと思っているのか?」
  「いえ・・・そういう訳じゃ・・・」
  じりじりと俺が後ずさると、中嶋さんハムがゆっくりと近づいて来る。眼鏡越しに蒼い瞳が意地悪そうに光った。
  「啓太ハム、最初に教えたはずだ。嘘をつく悪い子には・・・」
  「な、中嶋さんハム・・・あっ、やめっ・・・やあっ・・・!」
  それから後は俺達だけの秘密の時間・・・って、あれはそんな可愛いもんじゃない!中嶋さんハムの馬鹿~!

Comment

ハムの仕事って何だろう?

中嶋さんはなんだかんだ言っても、ちゃんと啓太に付き合ってあげてるところがやはり優しいのかなぁ。中嶋さんは鬼畜だし鬼ではあるのかもしれませんが(笑)。

小声で中嶋さんに向かって豆を巻いている啓太を想像するとメチャクチャ可愛いと思いますが、中嶋さんは何でもお見通しなので後ろを向いていても油断してはいけませんね(^_^;)優しい鬼のお仕置きの時間になってしまいましたー。

2010/02/02 | pote[URL] | Edit

啓太ハムの本心は・・・

啓太ハムは運が良いはずですが、見つかってしまいました。実は中嶋さんハムにお仕置きして欲しかったのかも(笑)中嶋さんハムに『本当は期待していたのだろう?素直になれ』と言われて、赤面する啓太ハムが頭の中で回っています。

最近、ハムの大人ver.が書きたくて、書きたくて(笑)目下、姫祭り・・・もとい、雛祭りUPを目指して構想中です♪さすがにこれはBlogではあまりにオープンで嫌~んな感じなので、サイトにUPするつもりです♪間に合えば良いな(*^。^*)

2010/02/03 | Grace[URL] | Edit

        

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