友人と『假屋崎省吾の世界』を見ました。
華道展に行くのは高校以来です。あの頃は部員一人の華道部に所属し、当然、部長でした。用務員のおばさんや担当教諭に混じって、真(しん)、副(そえ)、体(たい)の池坊をやっていました。まあ、三年間で学んだことは、お花は性に合わない、ということでした(笑)
なので、興味はなかったのですが、友人がチケットを貰ったので一緒に行くことにしました。
会場は長い階段の所々にある踊り場から繋がっている小部屋を見て回るので、普通の展示会とは少し違っていました。その階段や小部屋は国の登録有形文化財に指定されているらしく、昭和初期の雰囲気が漂っていました。各部屋はそれぞれ趣向が違う日本画や浮き彫り、螺鈿細工が欄間や天井に施されていました。見事な細工が為されている柱などもあり、窓硝子のデザインに戦前の香りを感じました。多少、色褪せていますが、当時は剣欄豪華なことだったでしょう。
階段の廊下は土壁でした。我が家にも土壁の部屋がありますが、あれはとにかく掃除が大変です。やたらと壁の土の様な砂の様なものが落ちてきます。しかも、水などで濡らすと染みになって乾いても跡が消えません。さすがに文化財指定を受けるだけあって、そういう手入れは完璧でした。
そんなレトロな中に異様に巨大な木がバ~ン、ド~ンと置いて(生けて)あり、なぜか大きなインゲンもどきが枝に絡まっていました。勿論、花も間には生けてありますが、空間そのものをアレンジメントしたという感じです。中には子供の頭くらいの菊の花や、かぼちゃ、ざくろなど使っていました。なので、勝手に『インゲンの間』『かぼちゃの間』と名づけてしまいました。野菜嫌いの身に、あの匂いは辛かったです。
中には気に入った部屋もありました。立派な床の間に掛け軸や竹久夢二の美人画の様なものが掛けてあり、その前に豪勢な花が生けてある部屋がありました。頭の中で、西園寺さんの実家はこんな感じだろうと想像してしまいました(笑)
階段の途中の踊り場にお手洗いもありましたが、そこは使用不可でロープが張られていました。でも、中を見ることは出来ます。おばさん達がわらわらいたので、その後から覗いてみました。すると、花が飾ってありました。和式便器の周りにポン、ポン、ポン。男性用の処にもポン、ポン、です。これも総て『By 假屋崎省吾』なのでしょうか。こんな場所もアレンジ・・・さすがプロ。まあ、綺麗かどうかは・・・微妙?
花が萎れない内にと友人と初日の朝一番に行ったので、運が良かったら本人を見れるかもと思っていました。階段の踊り場の窓から外を見ていたら、その真横を假屋崎省吾が通りました。丁度、近くに消火器があったのですが、女性スタッフにその位置を移動する様に指示していました。その声や態度はTVで見る様な軽い感じではなく、事務的でテキパキしていました。あれが素とは思っていませんでしたが、やはり仕事なのね、と少しだけ感心しました。
サイン会もしていましたが、カレンダーなど決まったものを買わないと駄目なのでやめました。別に欲しくないので。総合的な印象は、とにかく・・・大きかった、です。そして、やはりお花は性に合わないと実感した一日でした。